おはようございます。西明石officeの神谷です。
先日、不動産の名義を変更したいが、権利証を紛失されたお客様がいらっしゃいました。
売買や贈与などの相続以外の原因で不動産の名義を変更するには、原則権利証が必要となります。
しかし、数十年前に購入したマイホームだと権利証を紛失することも十分考えられます。
こういった場合、どうやって名義を変更するかと言いますと、以下の2つの方法があります。
一つ目は司法書士が本人確認情報を作成する方法です。
これは司法書士が権利証に代わる書類を作成するというイメージで、法務局に対して、『権利証がありませんがこの人は所有権の登記名義人に間違いありません』ということを司法書士が証明致します。
この方法であれば、通常の登記申請となんら変わることはありませんが、司法書士への報酬が通常の手続き費用に加えて、別途本人確認情報作成費用をいただくことになります。
もう一つは事前通知と呼ばれる方法です。
これは、申請を受けた法務局が、売主の住所に『こういった登記が出されていますが間違いないですか?』という通知書を本人限定受取郵便で送り、それに売主が署名及び実印での押印をして返信することで登記手続きが進む仕組みとなっています。
事前通知は、法務局に返信があるまでは登記手続きが進行しませんので、通常の申請より完了までに時間がかかってしまいます。
また、この返信は期限が設定されており、法務局が通知書を発送してから2週間以内に法務局に届くように返信しなければいけません。
もし、2週間以内に返信が届かなかった場合、登記申請は却下されてしまいます。
事前通知の場合は本人確認情報と異なり、司法書士費用は通常の費用だけで済みますが、一般的に買主が金融機関から融資を受けて不動産を購入する場合は、本人確認情報を作成して取引に臨むことになります。
これは事前通知で行う場合、もし売主による法務局への事前通知の返信が2週間以内に届かなかった場合、買主は代金を支払ったにもかかわらず、登記名義は変わっていないということになってしまうからであり、ひいては金融機関の抵当権も設定することが出来なくなってしまうからです。
今回は、金融機関からの融資がないパターンでの名義変更だったため、事前通知の方法で行うことが出来ましたが、余分な費用がかかってしまうことを防ぐためにも、権利証の保管はくれぐれも慎重にお願い致します。