こんにちは、明石市の司法書士の川村です。
7月1日から相続法改正のうち、持戻し免除の意思表示推定規定(民法903条第4項)が
施行されます。
これは、長期間婚姻している夫婦間で行った居住用不動産の贈与を保護するための規定です。
どういうことかというと、今までは、原則、配偶者間で居住用不動産を贈与したとしても、
相続における遺産分割において、その贈与分を差し引いて相続する取り分を決める為、
結果的に贈与がなかった場合と同じことになっていました。
ちょっとわかりにくいので、具体例をだすと、
生前に夫から妻に1000万円相当の居住用不動産を贈与し、その後、
夫が亡くなった場合に、夫の死亡時の財産が預金の2000万円だけだったとします。
相続人は、妻と子1人です。
通常であれば法定相続分はそれぞれ2分の1なので、
預金を1000万円づつ分けたいところですが、
妻は1000万円の居住用不動産の贈与を受けているので、その分を持ち戻します。
つまり、夫の相続財産は、不動産1000万円、預金2000万円の合計3000万円と
考えて、その3000万円を2分の1づつ分けることになります。
よって、妻1500万円、子1500万円ですが、妻の1500万円の内訳としては、
不動産1000万円、預金500万円となります。
贈与分を持ち戻したために、妻は預金を500万円しか受け取ることができないということです。
それがこの度の改正により、居住用不動産は持ち戻しの免除となるので、
上記の例でいくと預金2000万円を妻と子が2分の1づつ、つまり、
1000万円づつ相続することになる、ということです。
説明が難しいですね。
今までより配偶者の権利が守られるということですね。
要件が色々と細かくありますので勉強が必要ですね。